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らぶあど encore!
第28章 クレッシェンド作戦会議
……君は恋を奏でた……君は恋を撒いた……
心地好い微睡みの中、何処か遠くから自分の歌が聴こえてくる。
祐樹は半目を開くが、見慣れた部屋の天井と横で眠るほなみの寝顔を見て、どうやらこれはライヴの夢を見ている訳では無さそうだ――と思った。
夢の中のライヴでは、大概祐樹は何かをやらかす。歌詞が飛ぶとかフレーズを忘れるとか、カッコつけてグランドピアノの蓋の上に飛びのったはいいが、飛び降りる時に着地を失敗して尻餅を付いてファンに失笑されたり、歌っていて足元にコードが絡み付いて抜け出せなくなるとか、突然鼻血を出すとか――
「……だいだい……あり得ないけどねえ……もしも歌詞を忘れちゃっても笑って誤魔化すし、着地ミスらないし……もしも俺が転んだって……クレッシェのファンは優しいから暖かく笑ってくれるし……鼻血なんて三広じゃあるまいし――ふあああ」
祐樹はブツブツ呟きながら身体を起こして伸びをし、大きな欠伸をした。