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らぶあど encore!
第28章 クレッシェンド作戦会議



祐樹は、突然走って寝室まで行ったかと思うと、譜面を手に戻ってきた。

テーブルの上に広げ、書かれている音符を目で追って鼻唄混じりに指を膝の上で踊らせる。

何事か、と皆が注目する中、祐樹は歌うように言った。




「なあ――俺らってプロの音楽家だろ」

「え……っ……まあ……うん、そうだよね」



三広と野村は顔を見合わせて頷いた。祐樹は二人を見て不敵に笑う。



「ならさ……何とかしてみようぜ。幸いレコーデイングは亮介のパートは殆ど終わってる。問題はテレビ出演やら、ツアーが始まるまでに奴がどれくらい回復して、元通りにプレイ出来るようになるか、だろ。
亮介の事だ。あいつも実は負けず嫌いだし、入院中だって周りに止められても練習すると思う。
だから俺らも努力しなくちゃ」

「……努力って」

「野村、三広、お前ら、こんな事でバンドの足を止める気か?……難しい状況でも足掻くことさえしなければそこで終了するぞ」

「――」



二人はまた絶句するが、三広がテイッシュを鼻に突っ込んだままできっぱりと言った。




「勿論、諦めないよ!音楽は、クレッシェは俺たちの夢なんだ!」




野村はキッチンに立ったままで静かに頷いた。





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