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らぶあど encore!
第29章 貴方の側に居たい
「あれ……どこ?」
見付からず苛立つ景子の背中に亮介が触れると、くすぐったさに彼女は悶えた。まだ疼きが残っているのに刺激され、声を漏らしてしまう。
「やん……っ」
「――はい、ホックは元通り!」
「……っ」
得意気に左手を上げる亮介を、景子はカッとなって睨み付けた。
彼女の鋭い瞳に亮介はぞくりとする。
亮介のそんな反応にもっと腹を立てた景子は無言でバッグを掴み出ていこうとしたが、彼の長い腕が目の前に延びて行き先を阻んだ。
「けーちゃん……もう行っちゃうの?」
「――っ……」
景子は、捨てられた子犬の様に目を潤ませる亮介を見て、バックを胸に抱き締めたまま立ち尽くした。
(何よ……さっきはあんなに妖しい表情で……甘いキスで……その指先で……散々惑わせておいて……肩透かしして……なのに今そんな目をするなんて――)
「ず……ずるいっ」
「え?」
思わず口をついて出た言葉に亮介は少し笑った。