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らぶあど encore!
第30章 密約
綾波には、向こうでほなみが躊躇う様子が目に見える様だった。
微かな溜め息が聞こえ耳元を擽り、綾波はその心地良さにうっとりと目を瞑るが、ほなみの小さな声に再び瞼を開ける。
『……景子ちゃん……迷惑じゃないかな……私達……私が心配するの……』
「何を言ってる……そんな訳ないだろう?……多分な……おい、話してやれ」
綾波は、ゆっくりと景子の上から退くと、スマホを握らせた。
景子は慌てて身体を起こし、綾波から逃げるように部屋の隅まで後ずさり――震えているので、早くは動けない――乳房も顕で下半身はショーツだけという霰もない姿のまま、スマホを耳にあて、掠れた声を出した。
「……もしもし……ほなみ……?」
『景子ちゃん……!』
「――」
自分に向けられた第一声には、安堵と嬉しさと少し責めるような響きが混じっていて、景子は絶句した。
うわべではなく、心から景子の事で気を揉んでいた――という事がその一言だけで伝わってきて、喉の奥が熱くなり、咳き込んだ。