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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
「捨てるなんて……そんな事」
景子は首を振り史の頬に手を添える。
史は何故か真っ直ぐに見返す事が出来なくて瞼を閉じた。
喉の奥がカラカラに渇き押し潰されて、声が出せないような気がする。瞼の裏が真っ赤になってツキーンと疼いた時、景子の手の甲を史の瞼から落ちた水が濡らした。
「――史?」
景子が大きな目を更に大きく開いて驚いている。
だが、もっと驚いているのは史自身だった。
両手で濡れた頬をごしごし擦り、目尻に触れればまた暖かい涙が流れる。
史は、自分の裸の膝に落ちる涙を呆然と見詰め、小さく呟いた。
「ウソだろ……まさか……今泣いてるの、俺なのかよ……」