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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
「コーヒーカップもいいし~ドッキリバクバクハウスにも入りたいし~トンチンカン電車もいいな~」
「ようちゃん、なるべくおとなしくね?またお熱が上がっちゃうわよ」
洋平は景子の手を握ったままブンブン振り回し興奮していた。
景子はそんな息子を可愛くて堪らず、頬を緩めたままで諭そうとするが、洋平以上にはしゃいで浮き立ってしまう気持ちを抑えられない。
一月に一回だけの面会――まさに束の間のひとときだ――しかも来月もこんな時間を持てるかどうかも怪しい。
この遊園地を後にしたら、景子には厳しい現実が待ち受けている。史は才能も華も持ち合わせているミュージシャンだが、果たしてオーデイションに通るのだろうか。
綾波は、景子がクレッシェンドの臨時メンバーに足りうる逸材を見つけて来れれば、経歴を偽ったことを不問にすると言っている。逆を言えばもし綾波とメンバーのお眼鏡に史がかなわなければ、景子は解雇されて放り出される。