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らぶあど encore!
第32章 言葉に出来ない

『お前の泣き言なんか聞きたくないね……洋平の夜泣きに毎晩付き合ってるこっちの身にもなってみなさいよ……あんたは良い時に洋平と遊んでるばかりで気楽だろうけどねえ』
次第に大きくなる母の声に耐えきれずに電話を切ろうとしたその時、背後から突然レザージャケットに包まれたしなやかな腕がスマホを奪った。
「さっきから聞いてれば、何なんだよあんた!」
整った顔を怒りで歪ませ電話の向こうの母に怒鳴っているのは史だった。
景子は驚きで目を見開き、ただただ彼を見詰める。
『……なんなのあなた!関係ないのに口を挟んでこないでっ』
「関係あってもなくてもどっちでも構わねえんだよ!」
「史……っ」
史の腕に手を添える景子だが、史が「いいから」と言い、母に向かって更に怒鳴った。
「あんたそれでも親なんか!」

