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らぶあど encore!
第32章 言葉に出来ない
「洋平が病気になったのだって景子のせいじゃないだろ!今景子をそんな風に追い詰めてなんになるんだよ!」
景子の母を責めながら史は自分も人の親なのだ――と思い、自分の身勝手さに歯ぎしりしたい心境になったが、今は景子を支えてやる事が大事だ。
今まで真っ当な、父親として人としてするべき事を全くしていなかった自分には、これからどの様にすれば良いか――など正直分からない。
ただ、景子と洋平をこのまま放っておけない――という強い激情に突き動かされていた。
『……そうか……あなた……景子の男?』
嘲笑うような母の口調に史は絶句する。
『あの子はまともに子育ても出来ないくせに……男をたらしこむことは得意なのよね……ふん』
「――そう言うあんたは娘の気持ちを思いやる事も出来ないのかよっ!」
史は鋭い声で言い放ち、電話を切ってしまった。