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らぶあど encore!
第32章 言葉に出来ない
「――っ」
信じられないという風に驚愕の表情を浮かべる景子の目尻の涙を指で拭い、史は俯いた。
「でもそんなの……今更おせえよな……俺は、景子を利用してただけだった……気分でお前の事を好きに抱いて……景子が俺を好きなのを分かってたからな……やりたい時に好きな様にやれる女だと思ってたんだ」
気付いていた事だった。史が自分を愛していなかった事――単に性欲の捌け口にされていた事を。
分かってはいても、実際に史の口から聞かされると心が痛んだ。
でも、今は自分の全てを懸けて愛する洋平が、そして亮介がいる。
だから、過去の一生懸命に史に愛情を注いでいた自分が哀れだとは少し思うが――史を恨む気持ちにはならない。
それに史は、変わり始めている。