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らぶあど encore!
第32章 言葉に出来ない
「景子……っ頼むから……そんな風に泣くな……」
細い身体が折れるのではないか、と思う程に大きく震えしゃくりあげるのを見て、無性に怖くなった史は彼女の頭と背中を交互に撫でながら懇願する様に言った。
「……ごめ……史は……泣かれるのが嫌いだものね……」
景子が泣き笑いで言うと、史は怒った様に頬を膨らませる。
「そんなんじゃね――よ!俺まで泣きたくなるからだって」
「史……っ」
史は、目を丸くする景子の額を軽く指で弾くと、悲しげに笑う。
「今までは……景子だけじゃなくて……誰かに泣かれたりするのが鬱陶しいだけだったんだよ……でも……なんか……俺……おかしくなったのかな……景子が今そうして泣いてるのを見てると、嫌なんだよ……」