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新月
第3章 美月
「テルさんの娘さんでしたよね…」
「……はい。」
チヨの声が小さくなる。
テルが亡くなってからまた、時間はまだそんなにたっていない。
泣いてはいけない——。
そう、思うのだが、母の名前を聞くだけで
幼いチヨの目に涙が溜まり、声が漏れそうになる。
「チヨさん。
我慢しなくてもいいのですよ。
ここには誰もきませんから…」
美月がチヨの手を取り、両手で包みこんでくれた。
その暖かい手は、チヨの不安な心を溶かすようで、
我慢していた涙が溢れ出た。
「——っ! ふぅっ!
も、申し訳ありませんっっ」
チヨは我慢していた感情が、一気に溢れ出した。
「っっ!
ふっ、……くぅ。……か、かかさまぁぁ…」
そして、美月の両手に額をこすりつけ、泣いていた。
美月はそっと片手を外して、泣きじゃくるチヨの背中を
チヨが落ち着くまでさすっていた。
「……はい。」
チヨの声が小さくなる。
テルが亡くなってからまた、時間はまだそんなにたっていない。
泣いてはいけない——。
そう、思うのだが、母の名前を聞くだけで
幼いチヨの目に涙が溜まり、声が漏れそうになる。
「チヨさん。
我慢しなくてもいいのですよ。
ここには誰もきませんから…」
美月がチヨの手を取り、両手で包みこんでくれた。
その暖かい手は、チヨの不安な心を溶かすようで、
我慢していた涙が溢れ出た。
「——っ! ふぅっ!
も、申し訳ありませんっっ」
チヨは我慢していた感情が、一気に溢れ出した。
「っっ!
ふっ、……くぅ。……か、かかさまぁぁ…」
そして、美月の両手に額をこすりつけ、泣いていた。
美月はそっと片手を外して、泣きじゃくるチヨの背中を
チヨが落ち着くまでさすっていた。