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新月
第7章 大切なこと
『ハハ、そんなの、どうでもいいよ。
僕はチヨが大事なのに、チヨは僕をいらないの?』
チヨはハッとして、透吾をみた。
『……っ!
そんなことないよっ!……でも…』
(とうごちゃんは、最近、忙しいから……)
顔に出ているのか、そんな様子のチヨを見て透吾はかぶりを振った。
『チヨ、僕を大事でしょう?
…だったら、一人で泣いてちゃいけないよ。』
そう言って、チヨの頭を撫でてあげる。
チヨはその暖かい手を感じて、また、涙が溢れてきた。
『あと、二人の時は、《とうごさま》っていわないの』
『うん……』
透吾の身体が近寄ってきて、ぎゅっと抱きしめられる。
(え……?)
チヨは驚いたが、嫌な感じはしないし、透吾は、優しく包み込んでくれている。
(あったかい…)
透吾は、チヨを抱きしめながら、背中をさすってくれた。
『寂しい時は一緒に居てあげるから……。
僕はずっとチヨのそばにいるよ。』
チヨは、安心してか泣き疲れて、透吾の腕の中で眠ってしまった…。
———。