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第6章 かくかくしかじか 幸せでして

後ろでは彼が手を振っている。

振り向かなくても、なんとなくわかる。


「迷子にならずに、帰っておいでよ」


行ってらっしゃいの代わりに…シュウがかけるいつもの言葉。

重い足を動かしながら、彼女は登校した。



「…そうだ、サチ」


「──…？」


「好きなアイドルとか俳優さんとか…、そういう人はいるのかい？」


「……？ いない、よ」



お年頃の彼女に、シュウが問うた質問。

何故このタイミングなのかわからないが。