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刺繍のような詩集のような。
第12章 築地へ行って下さい
仕事帰りにタクシーに乗り込んで

「築地へ行って下さい」

と頼んだ





タクシーは暗い高速を走り、

見知らぬ山道を抜けると

いつの間にか、どこかの山の頂上付近まで

僕を運んだ





車を止めた運転手が外に出たから

僕も倣って外に出る





冷えた山の空気に身体を震わせる僕をよそに

運転手は白い手袋をはめた手を夜空に伸ばして言った





「あぁ、だめだ。届かなさそうですね」





空には、綺麗な満月が浮かんでいた






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