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叔父姪えっち
第9章 思いでぽろぽろ
タケオくんとこうやってくっつくのはこれが最後になるだろう。そう覚悟して口を開く。
「でももう、わたし、叔父さんのものなんだ」
「……」
体を離してそっとくちづける。
胸がすぅっと涼しくなった。
タケオくんの真剣な目と見つめ合う。

ふと、タケオくんが目を伏せた。
「……さっき玄関開けた時のミキさん見て、そんな気がしてた」
タケオくんの伏せた睫毛が微かに震えている。
「うん」
「……でも、永遠に会えんくなるわけじゃないやんな」
「うん」
「また、来るやんな」
「うん」
「じゃあ、大丈夫」
タケオくんは最後にまたぎゅっと私を抱きしめて、そして体を離した。
それでも名残を惜しむように、そっと手を繋いだままでいた。

明日何時に家を出るかを聞かれて答える。
「それなら練習行く前やから、見送りに来て……いい?」
「うん、もちろん。嬉しい」
ああそうや、それから、とタケオくんがわたしの顔を覗き込む。
「できれば、あの写真送ってほしいな」
「え?」
祭りの日の朝に撮ってた写真、とタケオくんが微笑む。

「あ……えっ、起きてたの?」
「うん、実は」
へへへって感じでタケオくんが笑う。
わたしも思わず笑ってしまう。

「わかった、じゃあ、送るね」
「よろしく。……じゃあ、また明日」
「うん」
うん、うん、と何度か二人で頷き合って、そっと手を離した。

タケオくんはわたしに背を向けると、ぱっと走り出した。
運動部らしく走り慣れたフォームで、その背中も足も腕も、とても綺麗だと思った。

遠くなっていくタケオくんの後姿を見つめていると、鼻の奥が痛くなって視界がゆがんだ。
そんな資格無いのにと思いながら、わたしは少し泣いた。
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