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ノベルラブ
第1章 居酒屋
あぁ私酔っぱらってるな、と頭の覚めた部分が思ったのは一瞬で、すぐに居酒屋のざわめきと自分の熱っぽい息に冷静な思考は押し流されてしまう。

今日は私が副店長を務めるカフェの5周年イベントの打ち上げで、もう二次会も二時間は過ぎ、それでも元気な学生バイト達がケラケラと笑ったり食べたり歌ったりしている。

私は自分ひとりで頼んだアイスを独り占めしたいがために、テーブルの端に座って静かにしていた。


そこへトイレから帰ってきた蒼井君がくる。向かいに座る。

「なに端っこ座ってんですかスミレさん」

バイト君達は私のことを副店、と呼ぶか、長く働いてる子はスミレさんと、名前で呼ぶ
蒼井君はスミレさん派だ。

「いや別に。自分用のアイス待ってるの」
「あっズルい、俺も頼もう」
「私のはあげないよ!」
「解ってますって」

蒼井君はとてもさわやかに笑った。

向こうでどっと笑い声が上がる。アイス食べたら帰ろうかな、お金いくら置いて行こう、等と考えていると蒼井君が同じ事を言う。

「あー俺アイス食ったら帰ろうかな。スミレさんはいつ帰ります? もう終電ないですよね」

 私チャリあるからこれ食べたら帰るよ、と答えたタイミングでアイスがきて、でも蒼井君は店員に注文しない。目で問うと

「スミレさんにくっついて帰ります。アイスはガリガリ君を外で買います」
と言う。

ふうんーあげないよ。と言うと取りませんって。と笑う。
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