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Doki Doki/one way love〜一方通行の恋
第3章 契約
「おはようございます」
翌朝
どんよりした気分で出社すると、隣のデスクでは同期の明美が朝から何やら張り切っている
どうやら朝のミーティングはまだ始まっていないらしい
ギリセーフ、ラッキー!!
「ねえ、雛っ、新任の係長、超イケメンらしいよ
おまけに独身だって
早速、歓迎会セッティングしなくっちゃね」
「ふーん」
「ふーんって、あんた、反応薄いわね」
「明美こそ、彼氏いるじゃん」
「それはそれ、これはこれよ」
新任の係長か
そう言えば辞令出てたな
今日からだったんだ
かなりの遣り手で本社でも一、ニを争う異例の出世コースを邁進中だとか
辞令が出てからというもの、女子社員達の噂が尽きなかった
私が勤めるこの会社は都心の一等地に本社ビルを構える総合商社で、海外にも沢山の支社を持つ
慣例により幹部候補は本社採用後すぐに世界各国に散らばる支社に研修派遣される
その世界各国の支社を転々としながら五年間の海外勤務を終えた後、本社勤務となる
無論、海外採用もあるため社員は多国籍となり、割と自由な社風だ
毎朝のミーティング以外は役職の決済が必要な重要事項以外はそれぞれバディの判断にほぼ一任されていると言っていい
「皆揃ったようだな…
さて、皆、既に周知のことと思うが
辞令にもあったように本日付けで本社勤務になった新任の瀬川係長だ
…と言っても五年間NYを始め海外で腕を鳴らした強者で頼もしい戦力だ
皆、よろしく頼む」
「本日付けでこちらに配属になりました、瀬川駿です
よろしくお願いします」
「!!!」
先ほどから明美とコソコソ話していた私はその声に初めて顔を上げて目を見張った
「げっっ」
悪い事は重なるものだ