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外れない首輪
第1章 ハガキ
梅雨の晴れ間のある日、私は喪服でカフェにいた。
結婚するまで勤めていた商社でお世話になっていた方が急逝して、その告別式に出席した帰り、同期入社の亜理沙と成り行きでお茶を飲むことになったからだ。
「急に声かけてごめんね。でも、絵理は長沼さんと付き合い長かったし、最期にお別れしたかったと思って。」
「ううん、最期にお別れできただけでも良かった。ありがとう亜理沙。」
この言葉は本心だ。急逝してしまった先輩…私はこの人に秘書の仕事を一から教わった。控えめで心配りができて、いつも穏やかに微笑んでいる。憧れの女性だった。そんな先輩の早すぎる死を思うと、目が潤んでくる。
沈みだした私を気遣うように、亜理沙が話題を変える。とは言っても、私が知っていそうな人達の人事異動の話だが。
話の中で「広瀬…」という名が出てきた瞬間、私の心はびくんと跳ねた。
結婚するまで勤めていた商社でお世話になっていた方が急逝して、その告別式に出席した帰り、同期入社の亜理沙と成り行きでお茶を飲むことになったからだ。
「急に声かけてごめんね。でも、絵理は長沼さんと付き合い長かったし、最期にお別れしたかったと思って。」
「ううん、最期にお別れできただけでも良かった。ありがとう亜理沙。」
この言葉は本心だ。急逝してしまった先輩…私はこの人に秘書の仕事を一から教わった。控えめで心配りができて、いつも穏やかに微笑んでいる。憧れの女性だった。そんな先輩の早すぎる死を思うと、目が潤んでくる。
沈みだした私を気遣うように、亜理沙が話題を変える。とは言っても、私が知っていそうな人達の人事異動の話だが。
話の中で「広瀬…」という名が出てきた瞬間、私の心はびくんと跳ねた。