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外れない首輪
第3章 御主人様の瞳
「カバン引っ張られていっちゃうよ」
と広瀬さんは背中に手を回して、カバンを掴み、私の近くに寄せてくれた。
でも、無理矢理乗り込んできた乗客のせいで、腕を戻すことができなくなり、
私は擬似的に抱きしめられる格好になっていた。
そして、手のやり場に困ってしまった広瀬さんはカバンのベルトを掴むしかなくなり、結果、さらに食い込んでしまい、私は自分の中の被虐的な性向が顔を出しそうになるのを
こらえるのに精一杯だった。

頭の芯が痺れて、ぼぉっとして何も考えられなくなる…
が、急に異変に気付いて、ハッとする。
広瀬さんの…大きくなってる…?

見上げると、困った表情をしながら口パクで「ゴメン」と言われた。
もうあの瞳は消えていて、その子供っぽい表情に、心も恋に落ちた。気がした。
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