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【短編集】real
第2章 瑠璃
気がついたら、暖かい腕が私を包んでた。

起きてるのがばれたのかな、泣いてるのがばれたのかな。
背中から抱きしめる腕を振り払おうと思ったら、聞こえてきたの。


「ごめん、でも、離したくない…」







信ちゃんは、ずるい。
いつもいつも私の一歩先を行く。
私が寝てると思ったのかな。
私を包む腕が重いと思った頃には、微かな寝息が聞こえてきて。


こうして、私はいつまでも彼に縛り付けられるの。
まるでこの腕みたいに。

振り払おうと思えば振り払えるはずなのに。
あまりにも居心地が良すぎて。
この腕がなくなったら、とても寒くて暗い場所に一人きりになってしまう気がして。






だから私は、こうして暖かい夢にくるまれながら、眠ったフリをするしかできないの。
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