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【短編集】real
第3章 タトゥー
澪の、陶器のようなまっさらな肌が目の前に存在するだけで、澪と出逢えた偶然に、心の底から感動する。
長くすとんと重たげに伸びた髪も、少し笑うだけで見えなくなってしまう瞳も濡れるような漆黒なのに、彼女の肌は白人のそれのような透けるような色で、でも彼らのようにシミやほくろの一つもなく、触れるとさらさらと滑るくせに、なでようとするとピタリと肌に吸い付く。
神が作った芸術品とでも言うべき澪の肌は、例え彼女がこの世で一番不出来な造りの顔形だったとしても、その欠点を補うには余りあるほどの輝きだった。
澪と出会ったのは、先輩に連れられて仕方なく出向いたコンパでだった。
週末の大衆居酒屋はざわざわとしていて、好きじゃない。
どうせならカウンターしかない小さな居酒屋で、大将の顔をちらりと見ながら一人で焼酎をすすりたい。
僕はせっかくの休みの前日というか貴重な夜に、いるだけで疲れてしまうそこに飽きていた。
先輩はどこそこの有名な現役女子大生に鼻を伸ばし、聞き飽きた十八番のしょうもない下ネタで盛り上がっていた。
適当に会話をしながらも上の空な状態になるわけにもいかず、仕方なく楽しんでいるフリをする。
有名なお嬢様学校なだけあって、彼女たちには品がない。
ああ、違う。
別に下品なわけではない。
ただ、品がないのだ。
上品そうにグラスを持つ指先にすら、男に見られることを意識した媚が見え隠れする。
隙の全くない、毛穴をファンデーションで塗り固めた顔にも、なのに計算され尽くした隙だらけの服装にも、見ているだけで悪酔いしそうだった。
長くすとんと重たげに伸びた髪も、少し笑うだけで見えなくなってしまう瞳も濡れるような漆黒なのに、彼女の肌は白人のそれのような透けるような色で、でも彼らのようにシミやほくろの一つもなく、触れるとさらさらと滑るくせに、なでようとするとピタリと肌に吸い付く。
神が作った芸術品とでも言うべき澪の肌は、例え彼女がこの世で一番不出来な造りの顔形だったとしても、その欠点を補うには余りあるほどの輝きだった。
澪と出会ったのは、先輩に連れられて仕方なく出向いたコンパでだった。
週末の大衆居酒屋はざわざわとしていて、好きじゃない。
どうせならカウンターしかない小さな居酒屋で、大将の顔をちらりと見ながら一人で焼酎をすすりたい。
僕はせっかくの休みの前日というか貴重な夜に、いるだけで疲れてしまうそこに飽きていた。
先輩はどこそこの有名な現役女子大生に鼻を伸ばし、聞き飽きた十八番のしょうもない下ネタで盛り上がっていた。
適当に会話をしながらも上の空な状態になるわけにもいかず、仕方なく楽しんでいるフリをする。
有名なお嬢様学校なだけあって、彼女たちには品がない。
ああ、違う。
別に下品なわけではない。
ただ、品がないのだ。
上品そうにグラスを持つ指先にすら、男に見られることを意識した媚が見え隠れする。
隙の全くない、毛穴をファンデーションで塗り固めた顔にも、なのに計算され尽くした隙だらけの服装にも、見ているだけで悪酔いしそうだった。