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【短編集】real
第3章 タトゥー
テーブルを囲む女の子たちは、みんな同じような髪型に化粧をして。
同じような服で、同じようなアクセサリーで、同じように笑い、同じように話す。

ああ、つまらない。

イライラが隠しきれなくなる前に、タバコを吸おうと外に出た。
別に禁煙席ではなかったけれど、外に出るための言い訳だ。
彼女たちがその行動になぜか勘違いした気持ち悪い視線をよこしたけれど、気がつかないフリをした。


店先でぼんやりとタバコを吸っていた。
このまま、帰ってしまおうか。
一人抜けたところで、盛り下がることもないだろう。
獲物を狙う彼女たちのターゲットが一人減るだけだ。



いつから自分は、こんな嫌な人間になったのだろう。
数人で始めた会社はどんどんと成長した。
時代の流れに乗るのがうまい幼馴染の社長のおかげで、去年ついに会社は上場を果たした。
夕方のニュースで放送されたくらいなのだから、そこそこ有名なんだろう。
肩書きが重くなるのと同時に、取り巻く人間が変わった。
誰でも聞いたことがあるような会社の人たちの名刺がどんどんと増えるとともに、それに群がるハイエナのような人間も増えた。

そして、女。

判別もできないような種類の女たちが周りを取り囲む。
彼女たちは会社名を聞いたとたん、顔色を変え、気持ち悪い視線をよこす。
俺の顔が会社名にでも見えるのか?
ああ、違う。
俺の顔は、福沢諭吉なんだろうな。

昔知り合ったホストに聞いたことがあったな。
よくあんなおばさん相手にできるなって。
したら、言ってたっけ。
いや、歳も見た目も関係ないから、俺には女はみんな福沢諭吉子にしか見えないって。
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