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【短編集】real
第3章 タトゥー
きがつけば、居場所のない澪は僕の部屋に居ついていた。

澪と名乗るだけで、年齢も、出身も、何も語らない。

悪酔いした勢いで彼女を抱いたときですら、まるでこの世には存在していない存在よのうだった。

けれど、彼女を抱いたときの、あの衝撃。

僕の腕の中で、小さな声を漏らしながら朱色に染まった澪は、その肌に純白の模様を映し出した。

胸から下半身へ、白いレースのような模様が浮かび上がる。

彼女の白すぎる肌は、色を変えた時だけ、その刻み込まれた模様を浮かばせる。







澪が忽然と姿を消したいまでも、僕は、あの装飾を忘れられない。


だからこうして、肌に針を刺し、白いインクを垂らすのだ。
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