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【短編集】real
第3章 タトゥー
このまま帰ろうか。

そう思って通りに顔を向けると、夜なのに無駄に明るい街中に、奇妙な光を見つけた。
なぜだかはわからないのだけれど、暖かい光に手を伸ばすように、僕はそこへ自然とすすむ。

そうしながら、何か違和感を感じる。
気になって眼を凝らすと、一人の少女が佇んでいた。
いや、正確には違う。

ビルの壁にもたれるように、何を思う訳でもなく、ただ人形のように澪はそこにいた。

と思うと、彼女の俯いていた頭がふらふらと揺れ出す。

「あ」

咄嗟に駆け寄り、彼女の体を支える。

澪は、喧騒の中、気を失っていた。
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