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ネムリヒメ.
第8章 雨.
聖が渚の部屋から出ると、下からギャーギャーと騒がしい声が聞こえてくる
聖は二階の吹き抜けから下の階のリビングを覗きこんだ
「……オンナ連れ込むなっつってんだろーが!!」
「ぇ、連れ込むもなにも…」
「…ってか、お前らもなんなの? オンナひとりにあんなに構いやがって」
「みっくん、それヤキモチ!?」
「しばくぞ葵!!」
「怖ーい…」
不機嫌に荒れる雅を葵がたしなめている
ってか、ふざけてるだけじゃん 葵くん…
聖は手すりに頬杖をついてしばらくそれを眺めていた
「そんなんじゃ彼女に嫌われちゃうよー」
「うっせーぞ、葵 テメェ!!」
雅はふざける葵にカチンときたらしく立ち上がって葵の胸ぐらを掴む
まったく…
「あーあ…これだから単細胞は困っちゃうよねー」
それまで楽しそうに眺めていた聖だが、その様子を見てリビングのふたりに向かってそう上から投げかけた
「ぁ゛!?」
雅は葵を掴んだまま上を見上げる
はぁ…あんな顔で睨まれたら女の子なら泣くよねー…
聖は大きなため息をつきながら階段を降りた