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ネムリヒメ.
第8章 雨.
「あぁ、雅…いたの忘れてた」
「ぁあ゛!? 聖、テメェふざ…」
「きのう…」
もはや雅のコトなどどうでもいいと言ったような態度の聖が、いきり立つ雅の言葉を遮る
「…飲めもしない酒飲んでなにも覚えてない雅には御愁傷様だけど、かっわいそうなお前に教えてあげるよ…」
「はっ!?」
「彼女は結城千隼…」
「結…城……!?」
"結城"…
どこかできいた名字に雅の顔が曇る
"結城"って…まさか……
冷静さを取り戻した雅の頭のなかで、バラバラだった点が一本の線に繋がってハッとしたときにはすでに、目の前で聖の口が動いていた
「彼女は…結城楓の妹だよ……」
「………!!」
雅に脳天を撃ち抜かれたような衝撃がはしった
「楓…さん!?」
雅の瞳からみるみる殺気が消えていく
「うわー、みっくん…その様子だとガチで覚えてないんだ」
「っ……」
葵の声に雅の顔からは、さらに血の気も引いていく