この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ネムリヒメ.
第9章 イチゴ味の夜と….
アタシも眠い目を擦りながらダイニングに消えていく葵くんの背中を見送っていると、聖くんがソファーにアタシを呼んだ
「ちーちゃん、朝帰り…」
アタシを隣に座らせると、パソコンをパタンと閉じて寄りかかってくる聖くん
「ぁ…うん」
彼の綺麗な栗色の瞳が下から見上げてくる
聖くん口ちょっと尖らせてるし、上目遣いとかなんだか可愛い…
ぴったりとカラダを寄せる聖くんからアイスクリームみたいな甘い匂いがする
「ちーちゃん、オレと寝よ」
あくびを噛み殺しながら、そう誘う彼…
「ぇ…でも」
「渚くん待ってるけど帰ってこないし…オレ寝る…部屋行こ…」
下から手を伸ばしアタシの髪で遊びながら、笑みの溢れる甘ったるい目で見つめてくる聖くん
「アイス…あげるから…」
聖くんのその目は反則だ…
胸がキュッとなって断れなくなる
しかもアイスという餌までまく彼は、アタシのなかからさっきまで確かにあった渚くんと葵くんの存在をいとも簡単に消し去る…
彼はアタシの後頭部に手を伸ばして引き寄せる
すると唇同士が触れて、聖くんが含みのある笑みを浮かべた
「んっ!!」
聖くんの不意討ちに驚いていると突然カラダが重くなる
コトンと彼の首がおちて、アタシの足の上に聖くんが倒れこんできた
聖くん、何時から起きてたんだろ…
見れば長い睫毛を伏せてスースーと静かな寝息をたてている