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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
耳元から聞こえる彼の優しい声に、震える小さな声を絞り出す
「よくわかんない…」
「え…」
「楓って言いながらすぐに流されて誰にでも抱かれる自分も、そんな自分を平然と受け入れる自分も、
心細くなると目の前の優しさに、都合よくこうやってすぐにすがりつく自分も」
「……」
「っ…こんなの普通じゃないのかなって…でも、なにが普通なのかもよくわかんない…
矛盾だらけのまともじゃない現実が、今のアタシの現実なのに…」
「……」
「…誰かのせいにして、現実を否定しようとしてるの。なのに、どこかでは…誰かに肯定してほしいって思ってる」
─言葉にして初めて気がついた
アタシは…
自分ではどうしようもできない戸惑いを
それでもいいんだよ、って…誰かに言ってほしいだけじゃない
そんなコト、当の本人に言うなんて…
…バカだ
筋違い
最悪…
「ごめんなさい。こんなコト、葵くんに言うなんて…ズルいよね…ちょっと不安定なだけだか…」
「…オレは」
え……
苦しかった想いを吐き出したのはいいものの、バカじゃないかと沈下しかけるアタシの声に、葵くんの少し低い声が重なった
「そんな弱みに付け込むもっとズルいオトコだよ」
「え…」
顔を上げれば絡む視線
「ちーちゃんのモヤモヤしてるのがオレたちのせいだってわかってるのに、こうやって弱みに付け込んでる」
「………!!」