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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
「………って、腹立つなぁ、雅」
「雅かよ …んで!? 葵はそのあとなにしてんだよ」
ホールのイチゴタルトを頬張りながら惜しげもなく葵がストックしているお気に入りの、しかも最後の一本の木箱入りのシャンパンを呷る聖
「だから部屋に籠城してるって、ちーちゃんと」
「へぇ…」
「へぇ…って、渚くんもなにやってんの!! せっかくちーちゃん帰ってきたのに、見てない、会ってない、触ってない!! 葵くんにちーちゃんとーらーれーた」
「お前が偉そうに言うんじゃねーよ」
カチンとライターを鳴らした渚が、タバコの煙を吐き出す
「だって、平気なわけ!?」
「だからお前が言うなって…」
「渚くんズルいよね、そうやって余裕ぶって」
ソファーに腰を沈め、落ち着いた様子で煙を吐き出す渚の姿が、歳上とは言えどずっと大人に見えてしまう聖
「オレ、葵くんからだけは死守したかったな…」
「は!? なんだそれ…無理に決まってンだろ、葵だぞ」
「葵くんだから、だよ…ちーちゃんを葵くんが遊んでるそこらへんの女の子と一緒にしてほしくない…」
聖は口を尖らせブツブツとフェードアウトしていく自身の声を呑み込むようにシャンパンを流し込む