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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
「えっ、ちょっ!?」
慌ててカラダを起こそうとすると、渚くんに肩を押されベッドに沈む
「なにやってんの、お前」
「なにって…」
「葵の前で、あそこでやめるほど余裕ねぇっつったろ」
「っ……でも」
「なんだよ…」
なんだよって…まだよく訳のわかってないアタシの前で渚くんが艶やかに瞳を揺らす
「っ………」
そんな顔しないでよ…
初めて見るここまで余裕のない…色っぽく切ない彼の顔
「千隼…」
渚くんが頬に触れながら甘い声でアタシの名前を呼ぶ
「言いたいコトがあるなら言えよ」
「えっ…と…」
なんで葵くんの部屋にいたの…とか
あんなの葵くん、絶対怒ってるよ…とか
それに、"お前がいないと眠れない" って……
言いたいコトも、聞きたいコトもたくさんあるのに
うるさい…
心臓がうるさい!!
うるさ過ぎて、頭も真っ白で
「………っ…タルト!!」
「は…!?」
戸惑いのあまり言葉を詰まらせたアタシから飛び出したのはそんな言葉で、
アタシを押し倒した渚くんがすぐに眉を寄せる
「っタルト食べたいの…イチゴタルト、アタシの分あるで…」
「……却下」
「は…!?」
「オレが先に食うから…」
えっ、何を…!?
…もちろんそんな質問なんかさせてもらえなくて
重なった唇の隙間から渚くんが低い声で囁く
「お前を……」
「…………!!」