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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
…東京湾と夜景を一望できる一面大きなガラス張り
テーブルに置かれた開けたボトルに飲みかけのシャンパングラス
ソファーには脱ぎ捨てられたスーツのジャケットに
床に転がったピンヒールのミュール…
きらびやかな夜景を背に、そんな部屋でアタシを抱いているのは…渚くん
彼の長い指先が額、鼻、頬、耳へと触れ、唇が同じ経路を辿るように降りてくる
そして、背中に手をまわす彼は耳元にキスを落としながらドレスのファスナーをゆっくりと下ろし
肩を外しながら、重なった唇の隙間から彼は甘い声でアタシの名前を呼んで…
「千隼…」
「…んん…っ…」
そこで実際に聞こえた彼の声と、唇に触れた柔らかい感触に現実に引き戻されて瞬きを繰り返せば、瞳に映るのはあの夜と同じ…
唇が触れる距離に濃艶な表情を見せる彼の顔があって
彼の纏うこの空気はアタシを欲に狂わせ、すべてを奪っていく
幾度となく重ねられる口づけは甘く、深く…吐息を絡めとりながら、アタシのカラダをあっという間に熱くする
彼の髪に伸ばせば、重ねられた手の指が絡みそっとベッドに縫い付けられて…