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ネムリヒメ.
第15章 イチゴタルト.
渚くんは首筋に刻んだ自身のシルシを確かめるように指でなぞると、愛おしそうに唇を落としながら囁いた
「眠れなくなってた…お前がいないと」
「っ…!!」
ドクンと心臓が大きく脈打つ
心臓に耳ってついてたっけ…
そのくらい大きく聞こえる自分の鼓動
ゆっくりだけど、はっきりと刻むそれは
血液を全身に巡らされる度に、苦しいくらい切ない感情を沸き上がらせる
「でも、カラダだけじゃ足らない…だから」
顔をあげた渚くんの切なげに揺れる瞳に胸がギューッと痛くなる
「お前の全部が欲しい…」
「………!!」
…世の中には人によって言って "イイ言葉" と "イケナイ言葉" があると思うの
彼が口にしたのは "イケナイ言葉" …
だって…
こんなにも綺麗な顔で
こんなにも艶やかな表情で
まるでドラマのワンシーンような、
他の誰かに言われたらキザだって思うような台詞を完璧に自分のモノにして…
半端ない破壊力でアタシの胸に真っ直ぐに突き刺してくるんだもん
どこかに引っ掛かって動かないアタシのなかのなにかを突き動かそうとする
ザワザワを通り越して、胸の奥がジンジンする…
「責任…とれよな…」
再び重なる唇に目を瞑ると瞳に溜まりきらなくなった滴が零れ落ちた