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ネムリヒメ.
第16章 散らばるカケラ.
「…で、昼間から修羅場とか、なーにしてるわけ?」
パンケーキのオーダーを終えたらしく渚くんが向かいのソファーに腰を下ろすと、聖くんが話の口火を切った
「どっからどう見ても、着衣を乱して淫らな行為をする縺れ合った男女に見えたからね」
「…っ」
うぅ…
聖くん、ちょっとオーバーだけど、そうも見えなくなかったのは正直なところで
彼の言葉に胸がチクリと反応してしまう
「勘違いすんな…」
「じゃあ、ちゃんと説明してあげなよ。せっかくちーちゃんを驚かせようと思って連れてきたのに、台無しなんだけど」
「はぁ…」
渚くんがまっすぐアタシの顔を見た
その顔に嫌でも思い浮かんでしまうのは、今朝のベッドでの事情とアタシの胸を締め付けた彼の言葉
そこに目に焼き付いてしまったさっきの女性の姿が浮かんで、なんだかいたたまれない気分になる
言葉にすれば、なんだか裏切られたような、虚しいようなそんな気持ちだった
…あぁ、そっか
あれは"見ちゃいけないもの"じゃなくて、アタシにとって"見たくないもの"だったんだ…
数時間前まで自分を抱いていた腕のなかに、他の誰かを入れて欲しくない
得体の知れない感情が胸を締め付けていた
自分は渚くんとだけじゃないのに、それを棚にあげてる
でも…嫌だ。
こんな…
自分が、知らないうちにこんなにも欲張りでワガママになってるなんて…
それをこんなタイミングで気がつくとか
─完璧に自己嫌悪…。