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ネムリヒメ.
第16章 散らばるカケラ.
無邪気な悪魔がアタシをいじめてる
でもちょっとだけそんな悪魔にアタシは救われてる気がして怒るに怒れなかった
それは、アタシの胸のうちを見透かしたような瞳で笑いながら変顔を強要する聖くんの優しさのせいなのか
むしろ気が緩んで、ブワリと涙の膜が一瞬で瞳を覆った
「それでさっきの子、見ない顔だったけど新人サン?」
「あぁ…秘書課の新人」
「へぇ、見た目はそこそこじゃん」
「そこは一応な」
っ……
もう聞いているのもイヤになる
聖くんの顔を見ながら、鼻のあたりがツンと酸っぱくなって胸が痛い
しかし、苦しくて声を出したら涙が溢れそうで、アタシには発言するコトも拒否するコトもできなかった
今にも泣きそうなアタシを前に聖くんは続ける
「それで!?こんな所で公私混同しちゃったおバカさんはどっちなワケ?
渚くんだったらこのままちーちゃん連れて帰るよ!?」
「…バカ、オレじゃねぇよ。お前だってわかってんだろうが」
………!?
「……あはっ、バレた!?」
え…
「っ、お前 性格悪っ」
「っ…!?」
なになに、どういうこと!?
「そいつのコト、わざと泣かそうとしてねぇ」
「してないって♪偶然とはいえ誤解を招くようなシーン見せたのは渚くんだし。
それにしても、入社早々に社長室にまで乗り込んできて、渚くん相手にカラダ使って言い寄るとか度胸あるなぁ…」
「ったく、マジで迷惑」
迷…惑…!?
ちょ……
ちょっと待って!?