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ネムリヒメ.
第18章 不機嫌な Navy Blue.
それに…
透け感のある上質な刺繍を施されたレースに、気にしていた紅い跡はほどんど隠れ、
それからわざわざ誂えられたかのようなサイズのピッタリさにも驚く
"雅なら誰よりもセンスだけは抜群だから…"
頭を過る聖くんの言葉
だけどこれはセンスどころの問題じゃなくて…
「…おい」
「っ…!!」
外からする雅くんの声にビクッと再び肩が上がる
「っ、着替えたなら言えよ」
「あ…ゴメッ」
シャッとカーテンを開けなかに入った彼は、髪につけられたクリップをとるとアタシの髪をそっと解いた
そんな彼のしぐさに急激に鼓動が大きくなる
「あの…」
ふーん…と眺める雅くんに恐る恐る口を開く
「サイズ…」
「は!? キツいのかよ?」
そう…じゃなくて…
彼は相変わらずの視線でアタシを見下ろしている
「……あ、ありがとう、ピッタリ…」
「は…当たり前」
は……!?
「んなの、だいたい見ればわかんだろ…」
「…………」
それから彼は髪を払い、アタシの気にしていた肩や首筋を確認するとフッと息を吐いた
「…こっちもまぁいいだろ、あとは葵に消させる」
「………!!」
やっぱりそうだ…
ここにくる途中で立ち止まったアタシを、彼が上から下までざっと眺めてたのも…
つけられたキスマークをわざわざ確認するような仕草をとったのも…
常に不機嫌そうでぶっきらぼうな彼の行動の真意にハッとすると、どんどん大きく早くなる鼓動が音色を変えた