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ネムリヒメ.
第18章  不機嫌な Navy Blue.



……………………



「…ありがとう」

「っ…別に」


彼を見上げ小さく呟いたアタシの声に、雅くんは視線を外して小さく息を吐いた

彼はドレスをこれに即決すると、次は靴とバッグを見立てていった

そして最後に、腕に華奢な鎖のブレスレットと耳に大粒のパールのピアスを飾ると、彼は改めてアタシを上から下までざっと眺めた


「ま、こんなもんだろ…」


満足そうに呟くと雅くんはジュエリーショップの大きな姿見の前にアタシを立たせる


わ……ぁ!!

靴もバッグもジュエリーもロイヤルブルーのドレスによくあっていて、シンプルだけどとても華やかに映る自分の姿に目を見張る


「髪は葵にやってもらえ…緩く巻いてサイドに流すだけでも顔が映える」


っ…!!

後ろから雅くんが髪を掬って片側に寄せる

髪の流れる感覚と、うなじに触れる彼の指の感触にドキンと心臓が跳び跳ねた


「それに…パーティーじゃねぇからムダに派手にする必要はねぇけど、これなら誰の隣にいてもくすまねぇだろ」

「…………!!」


鏡越しに伺える雅くんの表情は相変わらずだった

しかしそんな言葉が急速に鼓動を大きくする


雅くんって……


鏡のなかで彼を見あげると、少しだけ口元を緩めた彼と目があった


あ……

初めてみる彼のそんな表情…


しかし


「…なんだよ」


う……

すぐに鋭い視線を返されてしまう




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