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ネムリヒメ.
第18章 不機嫌な Navy Blue.
「……疲れた…行くぞ」
雅くんは荷物をまとめると再びアタシの手をとった
「あ…の…」
「…あんだよ」
アタシの隣を歩く雅くんをそっと見上げる
ひととおり揃えてもらったから、もうほっぽりだされるかと思いきや、アタシの手は雅くんの腕に添えられていて、まとめられた荷物は彼が全て持っている
なんか…
「荷物…ごめんなさ…」
「は!?」
アタシの声を遮る"なに言ってんの、バカじゃね"張りの彼の声
そして案の定…
「バカかお前…」
「っ……!!」
鋭い視線と不機嫌そうな声が返ってくるわけで…
「…着飾ったオンナに荷物持たせるバカ、どこにいんだよ」
あ……
「あと歩くの早ぇならちゃんと言えよな、そんな格好で転ぶとか…」
「……っ」
勘弁…!?
迷惑……!?
「…じゃなくて、お前さっきから足元覚束いてねぇし…」
「……!!」
そう言えばさっきよりも歩く早さ、ゆっくりにしてくれてるような…
「とにかく…言えよな…っ」
「あ…りがとう」
無愛想な表情は崩さないし、相変わらず言葉は荒いままなのに一応気遣ってくれてる…
そう…なんだか全部が意外すぎて、ずっと心臓がバックバクしたままだった
でも、なんだか少し嬉しくて…
明らかに聖くんに部屋を送り出された時と気分が違うことに気がつく