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ネムリヒメ.
第19章 記憶の中の摩天楼.
「っでも、ちょっと意外…」
「え…!?」
あっという間に髪を巻き終え、手ぐしで整える葵くんがスプレーを片手に微笑んだ
「ん!? あぁ…みっくんがもう少しちーちゃんを拒絶するかと思ってたんだよね」
あ…なるほど
そうだよね
よっぽど海に…
いやいやいや、それはアタシも意外で…
「…ちーちゃんに抱きつかせてたし」
「……………!!」
あ、あれは…
「ちょっと躓いただけだから!!」
鏡のなかで一瞬だけ瞳を光らせた葵くんにドキッと心臓が鳴る
が、葵くんはすぐに笑顔に戻してシュッと髪にスプレーを吹き掛けた
「…って言うのは冗談で、みっくんが素直に女の子を横に連れて歩くとは思わなかったから」
「…………」
え……
「みっくんはオレと真逆で自他共に認めるオンナ嫌いだから、女の子に優しくするもなにも
仕事以外で女の子を自分に近づけるなんてコトなかったし…ね」
そう…なの……!?
「だから、みっくんがちーちゃんを雨のなか泣かせた日のあれ…あれは純粋にみっくんの拒絶反応だし、
かといって見ての通り誰かに媚びるのなんて大っ嫌いな性格だから、誰かの何かだからって優しくするなんて考えは毛頭ない子だし」
葵くんは道具を片付けながら穏やかな声で話してくれる
「口も態度も悪いからその分、なにも知らない人間には色々と勘違いされやすいけど…」
「…………」
「根はね…」