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ネムリヒメ.
第19章 記憶の中の摩天楼.
「……うん」
葵くんが次に言おうとしてるコトがなんとなくわかって、彼の言葉の前に返事をした
「だからもし…」
葵くんが、できたよ…と微笑みながら掬った髪に唇をそっと寄せる
「不器用で俺様だから表だった優しさなんて滅多に見せないけど、もしちーちゃんがそう感じることがあればそのまま受け止めてあげて…!?」
「…………!!」
"オレが優しいとか思ってんじゃねぇだろうな"
"勘違いしてんじゃねぇぞ…"
雅くん、あんなコト言ってたけどやっぱり…
葵くんの言葉と、雅くんがアタシに見せた数々の出来事が頭のなかで結び付いていく
「…おいで」
葵くんはアタシの手を取ると、煌めく夜景を臨む窓辺へと誘った
超高層階の摩天楼からの眺めはまるで東京湾と都心の夜景を独り占めしたような贅沢さ
「じゃ、頑張った分…ちょっとだけ独り占めさせて」
その輝きを瞳に映したアタシを彼は後ろからそっと抱き締める
「さっきはあんなコト言ったけど、綺麗だよ」
「え…?」
「ちーちゃんが」
「っ…」
甘い声とすぐ近くから香る葵くんの爽やかな香りに胸がトクンと音をたてる
「それからね…」
「ん…?」
彼はリビングの方をそっと伺いながら優しく微笑む
「ましてや、みっくんはすぐに "ごめんなさい" なんて言える子じゃないから、ちーちゃんが許してくれるなら もう少し待ってあげて…」
あ……
ガラスに映って見えた彼の顔は、まるで面倒見のいいお兄ちゃんみたいな顔をしていて、そんな顔を見たらなんだかポッと胸が温かくなる
「ありがとう、葵くん…」
葵くんはアタシの言葉を聞いてそっと目を細めると、静かに耳元に唇を寄せた