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ネムリヒメ.
第19章  記憶の中の摩天楼.




え…ぇえ……!!?


「それとも日本語がわかんないバカは、海に沈める前にそのトマト…口に突っ込んでやろうか…」


フォークを突きつけるグレンチェックのスーツの袖を視線で辿る

すると栗色の瞳を光らせた聖くんが、酷薄の笑みを浮かべ雅くんを見下ろしていた


「じょ…冗談だろ…」


聖くんのトマト発言に僅かに怯む雅くん


ちょい待てい…

やっと反応とか

アタシはトマト以下なのか…


さっきまで彼の意外な優しさにたくさん驚かされた分、胸のツキンとした痛みごと冷たい北風に身をさらわれる気分だった

別に雅くんのツッケンドンな態度は今に始まったコトじゃないじゃない

そう思ってみるけれど、どこか悲しい


すると、


「……………っ…!?」


フワッと腰にまわされた誰かの手にそっと身をさらわれた


へ……!?

腰を抱かれ彼らのいるソファーから離される


「あ、ちょっとナギ…!!」

「…もういいだろ」


フッと香ったタバコとムスクの香りに驚いて顔をあげると、艶やかに微笑む渚くんと目があった


彼は葵くんたちから離れると窓辺のソファーにアタシを施す

そして隣に座ると長い足を組んでアタシの肩を抱いた


「似合わねぇから、そんな顔してんなよ…」

「…………!!」

「…せっかくのドレスが泣くだろ」


あ…

渚くんは耳元に飾られた大粒のパールのピアスにそっと触れると、その綺麗な顔を寄せる




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