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ネムリヒメ.
第19章 記憶の中の摩天楼.
そっちなの、そっちなの!?
おぉい!!
「そっち…」
…ですか
あ…
思わず口に出てしまった心の声
「なに…不満か!?」
「ふ、不満って…そ…の…っ」
目の前では唇を親指の腹で弄ぶエロスの化身が妖美に微笑んでいる
「それこそ不満はこっち」
「は…い…!?」
そっちとかこっちとか…もう…
間近で切れ長の目を光らせられ、ドキドキさせられすぎて思考は鈍る一方で
「忘れんなよ…」
「……!?」
へ……
あっという間に重ねられた唇がチュッと甘い音をたて…
「オレが満足してねぇコトを…」
触れたままの唇が紡いだ続きの言葉に、ゾクリとカラダ貫く快感
ドクリと一際大きく鳴った鼓動ごと、アタシは一瞬でノックアウトされた
「っ…」
「…エロい顔」
触れられた訳でもないのに、彼の毒にじわじわと侵されるようにカラダが熱くなる
「なぁ…いつまでもそんな顔してんな」
「っ…」
じゃあそんな扇情的な顔して煽らないでよ…
紅潮した頬を彼の長い指が滑る
「食われるぞ…」
「………!!」
あ……
わ…
わっ、忘れてた!!
今、渚くんとふたりじゃなかったんだ
「っ…!!」
彼の妖しい微笑みに慌てて後ろを振り返る
昼間の聖くんの乱入が頭を過った
が、
あ……
っ……よかった
葵くんたちはさっきのソファーで再びババ抜きで盛り上がっているようだった
っ…てことは………
「…………!!」