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ネムリヒメ.
第19章  記憶の中の摩天楼.





ホントに欲張りなカラダ…

今日に限っては何度のぼりつめたと思ってるの!?

なのにこれ以上、お願いだから狂わせないで…

アタシが自分じゃどうにもできないの


誰よりもわかってるクセに……


先を求めてしまいそうになる自分と、

そんな自分を恥じる自分がぶつかり合って涙が込み上げる

すると、


「その顔は後にとっとけよ…」

「……!?」


渚くんはドレスの袖を捲ると、葵くんが見事に隠した肩にある噛み跡を愛でながらクッと喉を鳴らした


「わかんだろ…」

「ん…」


しかし、鼓膜を揺らすエロスという悪魔の囁きは…


「わかれ、ここじゃ満足にお前を抱けないことくらい…」

「っ…」


甘く…深く…痺れるくらいに真っ白な頭のなかに反響して、アタシをどんどん毒牙にかけていく


「返事は…?」

「…ひゃっ」


カリッと耳の縁に歯を立てられて、ゾクッと全身を走る甘い戦慄に、瞳が涙で揺れて窓の外の夜景が霞む


「誘うなよ」

「誘って…ない」

「…んだよ……説得力ねぇな…」


耳にかかる吐息がアタシを快楽の縁へと引きずり込もうとしている

このままじゃ…


「っ…誰のせいだと…」


なんとか弱々しく彼の胸元を押し返す

が、


「…オレのせいだろ」


すぐに引き戻され密着する肌と肌

布越しなのに熱くなった互いの体温が行き来するのを感じ、今にも逆上せそうになる


「フッ…まぁいい」


あからさまに散々アタシの反応を楽しんだ彼は満足そうに口元を歪める

そして、


「もう少しいい子にしてろよ」


もう一度だけ啄むようにアタシの唇を奪った




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