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ネムリヒメ.
第19章  記憶の中の摩天楼.





ぇええ………っ!!


車って…

その一言に唖然とする


聖くんの愛車と言えば…

スリーポインテッドスターのエンブレムが眩しいそりゃもうピカピカ真っ白なハイクラスの高級車


葵くんのその人差し指は "1台分" を表しているのかしら…

怖くて聞けない…

怖すぎて…

うん、聞かないでおいてあげるね


そしてさらには、


「…クソガキ」


あ…

こっちにも被害者がいるのね

見れば不機嫌度を更に増した雅くんがソファーにカラダを投げ出して、シャンパングラスでひとりだけジンジャーエールをすすっていた


「新車は黒にしよっかなー♪ 一番にちーちゃんを乗せてあげるからね♪」

「あ…う、うん」


ま、マジか…

本気の話なのっ

もしかして、普段からこんななの!?

ねぇ、ねぇ、ねぇ!!

どんな遊びをしてるの貴殿方…


もはやどこに突っ込んでいいのかわからないアタシ


「容赦ねぇな、お前」

「まーあねー♪」


口が塞がらないアタシの隣では渚くんが平然としたままグラスを傾け


「「…捕まれ、クソガキ」」


得意気に微笑む聖くんに、葵くんと雅くんの声がタイミングよくハモる


「あはっ、なら負けなきゃいいのに」

「…っせーぞ、ぺてん師」
「……鬼鬼鬼鬼、ナギ慰めてぇ」


あーあーあーあー…


しかしそこで、


「そういや、千隼…」

「ん…?」


グデグデになってるふたりを無視してアタシのグラスにシャンパンを注ぎ足す渚くんが、思い出したように話を切り替える


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