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ネムリヒメ.
第20章 白と黒の影.
「ちょっと…なに考えてるの!!」
「悪いな、仕事の電話なんだ、勘弁して」
「っ…勘弁はこっちのセリフだからっ」
「は…」
一応人目を配慮して小声で怒るアタシに、彼は戻ってこい…と、ぽっかりとスペースの空いたソファーの自分の隣をトントンと指差す
「よくわかんねぇけど、文句ならかけてくるやつに言って…」
「───!!」
って、言えるかぁ!!
「ッ…電話は構わないけど、お願いだから普通にして」
「は…してるし」
「どこがよ」
「なんだよ…構ってもらえないからって拗ねんなよ、ほらこっちにこいって」
っ…違うわ!!
「拗ねてなんか…」
「あ…悪い」
そこで再び着信を告げる渚くんの電話
彼は電話を耳に当てると再びソファーの隣をポンポンと指差してアタシを隣に促す
もう……!!
それでも素直に従ってしまうあたり、アタシもアタシなんだけど…
「……ああ…その件は任せる。ただ、連絡は怠るなよ、状況が変わり次第すぐに連絡しろ…」
手が届く元の位置に戻ったアタシの隣で真剣な表情で電話越しに指示を告げる彼
渚くんって、実はこんなに忙しい人だったんだね…
目の前の彼の姿に改めてそう思う
そうだよね、だって彼はあの日本最大級のリゾートグループ "株式会社S.R.E" のトップ
企業グループとして見ても、日本有数の大企業だもの