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ネムリヒメ.
第20章  白と黒の影.





しかも英語ペラペラとか、耳にする電話の内容からして身に付いている教養は人並み以上

ただのボンボンのお坊っちゃまではないことは目に見えてわかる

きっとアタシの想像にも及ばない努力と、多忙な毎日を重ねているんだろうな…

なのにいつも落ち着いてて、どこか余裕さえあってクールで自信家

そんな彼は少なくともアタシといる時は、そんなものは微塵も感じさせないから…

だから普段見ることのない渚くんの仕事姿は尚更アタシの目を引いた


「ああ、先方にはそう伝えておけ…ただし、手心は加えるなよ……そのまましばらく様子をみろ」

「…………」


電話で話してるだけってなのにその美しい所作に思わず見とれてしまう

この劇物め…

すると思わずガン見状態で見上げていたアタシのもとに彼の視線が降りてきて、フッと口元を緩めたかと思えば…

アタシの顔がそんなに物欲しそうな顔に見えたのだろうか


「ッ…!!」


渚くんの手が腰にまわされグッと引き寄せられた

さらにはその手を悪戯にカラダのラインに添って往復させられる始末にアタシは


「ちょっ…」


ゾワゾワしながら小声で抵抗を試みるも


「…んだよ、もう降参か!? イジメがいがねぇな…構ってやるから大人しくしてろよ」


はぁ…!?

耳を掠めるそんな声

咄嗟に見上げれば、目が合った彼は一瞬ニヤリと意地悪く微笑むけれど、すぐに何食わぬ顔で再び電話越しに会話を続ける


『社長…どうされました!?』

「…いや、なんでもない」


ほら、突っ込まれた

すみません、こっちは非常事態です




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