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ネムリヒメ.
第20章 白と黒の影.
それから…
「……ああ、いつも助かる。頼む」
電話の向こう側へ労う言葉を最後に電話を切る渚くん
そしてその隣では…
「おい…」
「んぅ……」
声を殺したまま息絶え絶えにぐったりとするアタシの姿があった
「酔ったか? 水もらおうか」
「っ…そんなわけないでしょ!! 人を散々っ…」
「散々…なんだよ」
離れることを許されず、声をあげることをも許されず、構ってやるよと電話の合間に悪戯にカラダを撫でまわされたアタシ
そんなアタシの姿に切れ長の目を細めて面白そうにほくそ笑む渚くんは
「…気持ちよかったろ!?」
「ッ…!!」
そんなトドメを刺そうと…
するなぁぁあ!!!
と、思うのは内心で、実際はそう言えない自分に正直戸惑いを隠せないでいた
しかも、それすら見透かした様子の渚くんは、ロックグラスの氷をカランっと鳴らしながら目を細める
「ちょっと触っただけでそんな顔しちゃって…」
「っ…るさいな」
まるで、自分がそういう風に躾たとでもいうような彼の言動に、照れと悔しさで渚くんを睨んだ
しかし、そんなアタシに彼は平然と耳元に顔を寄せるわけで
「お前のカラダ…ちょっと触れるだけで敏感に熱くなるんだな…」
「ふっ…」
わざとらしく鼓膜を揺らす吐息混じりの低く掠れた声に、面白がられてるのはわかっているのに耳は火が着いたように熱くて
「んん…っ」
ゾワッと背中から這い上がってくる快感にピクンとカラダが強ばるけれど、片目を瞑り必死に堪えた