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ネムリヒメ.
第20章 白と黒の影.
「はぁ…アタシってばなんて顔をしてるんだろう…」
渚くんとラウンジをあとにして、アタシはパウダールームの鏡の前で大きな溜め息をついていた
ヤバい、本当にカラダ…熱い
鏡のなかにいる自分のは潤んだ瞳で肌をピンク色に染めていた
酔った!?
うん、きっと酔った…
でもこれお酒のせいじゃないよね
だってあんな…
「ッ……」
思い出せば背中がゾクリと泡立つ
ダメだダメだ…
今日はもうガードもカウンターもできないんだよ、アタシは
なのに、完璧な彼のテリトリーというフィールド効果のお陰でダメージも色気も5割増しだっての
もう…
今夜の渚くん、全部がカッコよく見えすぎて…困る
っ、ヤバいヤバい
こんなんじゃいつまでもたっても戻れないじゃない
アタシはそんな想いを払拭するようにフルフルと首を横に振る
そして頬をペチペチと軽く叩き、大きく深呼吸をしてから彼の元へ戻ろうとパウダールームをあとにした
すると
トン…!!
通路に出た途端、何かが肩にぶつかる
え…
「きゃっ…」
反射的に声が出て、よろめくカラダ
自分の状況に気がついた時にはアタシのカラダは冷たい壁に押し付けられていた
一方、そんな千隼の戻りを待つ渚はというと…
「紫堂さん…?」
「……!?」
千隼の戻りを待ちながら仕事の電話を1本終えた途端、かけられたその声に渚は顔をあげた
「紫堂渚さんでいらっしゃるわね…」
「ええ、なにか…」