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ネムリヒメ.
第20章 白と黒の影.
「いつもの私ならそうなるのだが、今夜は違うのさっ!!!」
「…………」
すると、バッ!!とソファーを振り返り、女性に熱視線を向ける男
「彼女は特別なんだ!! 私の運命の人だからねっ!!」
「っ………!!」
高揚した気持ちを押さえきれないと愛のロマンスを語りだす男の姿に、色々な意味で渚は言葉を失った
男の背中にはたくさんの薔薇の花が見える
─おい、こいつ…こんなキャラだったか…
残念としか言いようがねぇけど
このオトコに、あのオンナ…
どっちかって言ったら…あぁ、どっちもだな
つーか、オレのアドレナリンどうしてくれんだよ
沸騰寸前の脳内をごちゃごちゃにされ、開いたまま塞がらない口からはため息すらも出なかった
すると、一気に興醒めする渚の手を男が握る
「紫堂さん…力を貸して欲しいんだ」
「は……」
熱のこもった瞳が渚の冷めた瞳を貫く
「っ…!!」
「彼女想いを告げる素敵な場所を…」
─正気か、こいつ…
「あぁ…チャペルでもなんでも使っていただいて構わな…っ!!」
「感謝するよっ」
今度は、そう言い切る前にかまされる熱い抱擁
「っ…………!」
─マジ勘弁しろ、千隼…早く戻ってきてオレを助けろ…
「で、では…私から祝杯を…っ…いいシャンパンを部屋に……ご用意…」
「っ─!!気が早いね、君はっ」
─だから、離れろっつーの…