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ネムリヒメ.
第21章 あの夜の王子様.
…なんでって!!
寝ぼけてる!?
それとも酔ってる!?
「………………っ」
でもお酒、飲んでないんだよね…
渚くんもああ言ってたし、雅くんからもお酒の匂いはしなかった
「なに固まってんだよ…」
「……!!」
至近距離にある彼の瞳に驚くことしかできないでいるアタシの顔が映し出されて、長い指先を首筋に這わされパールのピアスを揺らされる
雅くん…だよね…
どっからどう見ても雅くんだけど、急にどうしちゃったの…!?
それともアタシがこの姿を知らないだけ!?
アタシを見つめる優しくも艶のある眼差しに、どんどん鼓動は大きく、早くなる
「小せぇ手…」
彼は手元に視線を落とすと、自分の胸に付いた赤い引っ掻いたような傷痕を、重ねた手でアタシになぞらせる
「あ…の……」
戸惑いを隠しきれないまま、指先に感じる雅くんの体温
だけど、その傷痕をアタシは知ってるような知らないような…
「っ………!!」
弾かれたように一番に思い付いたのは渚くんの胸元だった
抱かれる度にアタシがつけてしまう引っ掻き傷…
似たものが雅くんのはだけた胸板に刻まれている
すると、言葉を失うアタシに雅くんが口元を歪める
「思い出したか…?」
彼のゆっくりとした口調に心臓がなぜかドクリと騒ぎだす
「あの日お前が…
お前がオレに刻んだ…シルシ…」
「…………!!」
彼の言葉に息を吸った喉がヒュッと音をたてた