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ネムリヒメ.
第21章 あの夜の王子様.
「……………!!」
目を見開いたまま…
それがなにかなんて気づくまで時間なんてかからなかった
次の瞬間、
チュッ…とたてられた音が耳の奥の方でエコーする
「どう…し…て…」
思わず唇から零れた声は掠れ、カラダ全体に動揺が広がって頭が真っ白になる
自分の身に起きているコトが信じられなくて、
ドクンドクンと激しく脈打つ心臓が痛いくらいに鼓動を響かせた
「…聞くなよ、そんなこと」
瞳を揺らすアタシの姿を映す彼の瞳がフッと細められる
「どうして…急に、なん…で…」
戸惑いのなか、回らない頭から必死に言葉を絞り出す
しかし…
「急に…!? なに言ってんの、今更…だろ」
「…………!!」
人差し指で顎を撫でる彼から返ってきたのは、そんな返事で
今…更……!?
微笑みながら返されたその言葉が更なる混乱を呼ぶ
「お前は…忘れたままなんだな…」
「っ…!!」
「あの日のコトも…
オレのコトも…」
「……………!!」
なに…それ…
雅くんもなにも覚えてないって言ってたよね
それに、その言い方……
なのに、向けられた鋭い瞳と艶かしい表情はアタシの目を確実に奪うものだった
なにも言えないまま、彼の瞳を見つめ返してしまう
「ちぃ…」
聞きなれない雅くんの甘い声
美しすぎるその表情に背中がゾクッとして、無意識に腰を引いて身を捩る